婚約に至っていない男女交際については,当事者の自由な意思に基づいて行われますので,交際していた事実や交際の解消について慰謝料が認められることは基本的にありません。
しかし,既婚者であることを隠していたり,独身であると偽ったりしているような事情がある場合には,慰謝料請求が認められることもあります。
出会いの場が結婚相談所であったり,結婚をほのめかすような言動をしたり,女性が妊娠するなど,交際相手の人生設計を狂わせるような事情がある場合には,慰謝料の請求が認められることがあります。
次に,慰謝料が認められた事例をご紹介します。
・東京地方裁判所判決平成8年6月7日
男性(未婚)が,他に交際している相手がいることを秘匿し,結婚情報サービスで知り合った女性に対し,「結婚に必要な条件を満たしたならば婚約や結婚について検討してもいい」などと結婚について期待を持たせる状態で交際を約4か月継続し,女性を妊娠,中絶させました。
裁判所は,男性の行為が女性の人格権の侵害に当るとして慰謝料300万円の支払いを命じました。
・東京地方裁判所判決平成19年9月21日
男性が,既婚者であることを秘匿して,インターネットお見合いサイトを利用し,結婚を前提として交際していると偽り,3年近くにわたり肉体関係を伴う交際関係を継続したことに対し,裁判所は,慰謝料250万円の支払いを命じました。
・東京地方裁判所判決平成17年1月27日
男性が,既婚者であることを秘匿して,風俗店で知り合った女性と「結婚を真剣に考えている。」などと言って交際し,男性は女性に生活費を交付する,男性の家族と面会させる,男性の子を2回妊娠し中絶させた後,出産をさせる等して12年間交際を継続しました。
裁判所は,男性が既婚者であることを秘して女性と性的関係を伴い交際を長期間継続したことは,女性の人格権を継続的に侵害する行為であるとして,慰謝料550万円の支払いを命じました。
・東京地方裁判所判決平成22年1月14日
男性が,既婚者であることを秘匿して,クラブの客と従業員という関係で知り合った女性と交際を開始し,「子どもを産んで欲しい。」「家を新築して一緒に住みたい。」などと言って5年以上も交際を継続しました。
裁判所は,男性に対し,女性の人生に悪影響を及ぼす交際を行い,女性に精神的苦痛を負わせた慰謝料として250万円の支払いを命じました。
平成27年11月24日
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