日本は,世界で最も夫婦の性交渉の頻度が低いという統計があります。ご相談をお受けしていても,性交渉がない夫婦生活に不満をもっていらっしゃる方が多くいらっしゃいます。
性交渉を持つことは,婚姻関係において重要な要素だと考えられています。そのため,特別な事情がない限り,長年にわたって性交渉がないことは,離婚が認められる理由のひとつになる可能性があります。特別な事情というのは,例えば,病気等の理由から性交渉を重視しないことについて夫婦間で合意があるような場合を意味します。
しかし,実際に,性交拒否を主たる理由として離婚が認められた裁判例は,あまり多くありません。どのような裁判例があるのか,ご紹介します。
・夫が,ポルノビデオを見て自慰行為をする一方,別居まで約1年半,性交渉を拒否していたこと等から,妻が離婚を請求したケース。
このケースでは,夫のキセル乗車,ごみあさりなどの異常な行動も離婚を認めた事情として挙げられています。(福岡高裁平成5年3月18日)
・夫が,ポルノ雑誌に異常な興味を示し自慰行為に耽る一方,別居まで約3年間性交渉を拒否していたこと等から,妻が離婚を請求したケース。
このケースでは,夫が多忙で家庭を顧みず,妻の不満を解消する努力が欠如していたことなども離婚を認めた事情として挙げられています。(浦和地裁昭和60年9月10日)
・夫が,他の男性と同性愛の関係に陥る一方,別居まで約6年間性交渉を拒否していたことから,妻が離婚を請求したケース。(名古屋地裁昭和47年2月29日)
このように,性交拒否が主な離婚の理由となった裁判例は,他の事情も含めて総合的に判断し,努力によっても回復が困難なほど婚姻関係が破綻していると認められる場合に離婚を認めているように思われます。
セックスレスが離婚をしたい主な理由になっていて,合意では離婚できそうにない場合には,裁判で離婚が認められるのかを慎重に考える必要があります。
平成27年8月26日
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