結婚するとき,配偶者の親と養子縁組することがあります。その目的は,親の家業を継ぐためであったり,相続対策などさまざまです。
このような養子縁組は,夫婦関係が悪化して離婚してしまうと,どうなってしまうのでしょうか。養子縁組をスムーズに解消できるのか,問題となることがあります。
養親と養子の双方が納得して合意することができれば,役所で「離縁の届出」をするだけです(民法811条1項,812条,739条,戸籍法70条)。これを協議離縁といいます。
しかし,どちらかが養子縁組の解消に反対する場合は,調停や裁判を経なければ,養子縁組を解消することができません。
例えば,養親が資産家の場合には,養子は相続による経済的なメリットがあるため,養子縁組の解消に同意しないことが考えられます。離婚には同意はしても,配偶者の親との養子縁組を維持しようとするのです。
調停は,裁判所での話し合いですので,話し合いがまとまれば,調停により離縁することができます。
しかし,裁判で離縁が認められるためには,以下のいずれかの要件に該当する必要があります(民法814条1項)。
①他の一方から悪意で遺棄された
②他の一方の生死が3年以上明らかでない
③その他縁組を継続しがたい重大な事由がある
離婚したのだから,配偶者の親との養子縁組を解消したいという場合は,③の要件に当たるか問題となります。
過去の裁判例をみると,養親が離婚協議にどのように関与していたか,離婚により養親と養子の関係がどのように変化したかといった事情が考慮されています。
離婚したというだけでは,養子縁組の解消が認められなかった例もあります。
離婚をしたのに,配偶者の親の戸籍に入っているというのは違和感がありますが,配偶者との婚姻関係と,養親との養子関係は,異なる視点から判断されますので,離婚が認められても離縁は認められないということが起きてしまうことがあります。
婚姻時に相手方の親と養子縁組をする際には,このようなことも知っておくとよいでしょう。
平成29年7月28日
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