令和6年の民法改正により、2026年(令和8年)4月1日から、従来「面会交流」と呼ばれていた制度が「親子交流」という呼び方に整理されました。単なる呼び方の変更にとどまらず、婚姻中に別居している場合の親子の交流が新たに明文化されるなど、内容面でも変更があります。今回は、名称が変わった趣旨と、実際に何が変わったのかを、名古屋の弁護士が解説します。
従来「面会交流」と呼ばれていた制度も、直接会う方法だけでなく、手紙・メール・電話・ビデオ通話などの間接的な方法を含む運用がされていました。もっとも、「面会交流」という名称は直接対面するイメージが先行しやすい面がありました。改正法では、こうした運用の実質を踏まえ、離婚後の子との交流(改正民法766条)や、婚姻中に別居している場合の父又は母その他の親族と子との交流(改正民法817条の13)について、条文の見出し・解説では「親子の交流」(親子交流)と表現されるようになりました。
改正前の民法には、婚姻中に父母が別居している場合の親子交流に関する明文規定がなく、離婚後の親子交流の規定を類推適用するなど、実務の運用にばらつきがありました。改正法では、子と別居する父又は母その他の親族と当該子との交流について必要な事項は、父母の協議で定めること、協議が調わない場合は家庭裁判所の審判・調停で定めることが明文化されました。これにより、離婚前の別居段階でも、裁判所が適切な判断を行う制度的根拠が整備されました。
家庭裁判所は、子の監護に関する処分(養育費の分担に関するものを除く)の審判の申立てがされている場合において、子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がなく、事実の調査のため必要があると認めるときは、当事者に対して子との交流を試行的に実施するよう促すことができます。試行的実施にあたっては、交流の方法・日時・場所や、家庭裁判所調査官の立会いの有無などが定められ、子の心身に有害な影響を及ぼす言動を禁止することもできます。この試行的実施の結果は、その後の判断の重要な材料となります。
改正前は、祖父母など父母以外の親族と子との交流について、明文の規定がありませんでした。改正法では、子の利益のため特に必要があると認めるときに限り、家庭裁判所が、父母以外の親族と子との交流を実施する旨を定めることができるとされました(民法766条の2、817条の13第4項)。この審判は、父母以外の子の親族であれば請求できますが、祖父母などの直系尊属・兄弟姉妹以外の親族については、過去にその子を監護していたことが要件とされています。また、他の方法によってその親族と子との交流を実現できるときは、この審判を求めることはできません。父母以外の親族に無条件で交流を求める権利が認められたわけではない点に注意が必要です。
2026年の改正では、離婚後の親権について「共同親権」を選べるようになったほか、監護者や監護の分掌についてのルールも整備されました。親子交流は、これらの親権・監護のルールとは別の制度であり、親権が単独か共同かにかかわらず、子の利益のために適切な交流の方法を検討する必要があります。共同親権制度の内容については 離婚後の共同親権とは?2026年4月施行の新制度をわかりやすく解説 (コラム118)を、監護者・監護の分掌については監護者・監護の分掌とは?共同親権時代の子の監護ルールをわかりやすく解説(コラム119)をご覧ください。
親子交流の取決めや実施にあたっては、子の安全・安心を最優先に考える必要があります。特にDVや虐待が疑われる事案では、直接の交流が適切かどうか慎重な検討が必要であり、間接的な交流の方法や、第三者機関の支援を利用することも選択肢となります。取決めの内容は、実施の頻度・方法だけでなく、受渡しの場所や連絡方法まで具体的に決めておくと、後のトラブルを防ぐことができます。
いいえ。「面会交流」という言葉自体が禁止されたわけではなく、実務でも広く使われています。手紙や電話等の間接的な交流を含む点は改正前から変わっておらず、改正後は条文の見出し・解説で「親子の交流」(親子交流)と表現されるようになった、とご理解ください。
はい。婚姻中に別居している場合の親子交流についても、改正法により明文の規定が整備されました。父母の協議、又は家庭裁判所の調停・審判で定めることができます。
「面会交流」から「親子交流」への整理は、単なる呼び方の変更ではなく、婚姻中別居時の交流の明文化や試行的実施の制度化など、実務上の意味を持つ改正です。お子さんとの交流でお困りの方、別居中の交流の取決めをご検討の方は、お一人で悩まず、お早めに当事務所までご相談ください。
令和8年9月24日
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