配偶者が何らかの事情で海外にいる場合、「離婚ができるのか」という問題と当時に、「日本で離婚手続きを進めることができるのか」をかんがえなければなりません。
日本国内にいる日本人との配偶者との離婚手続きは、
①話し合いでの合意に基づく離婚(離婚協議)
②日本の裁判所での調停離婚、審判離婚
③日本の裁判所での裁判(和解離婚、認諾離婚、判決離婚)
という順で進めていくのが通常です。
では、配偶者が海外にいる場合には、それぞれの手続きでどのような問題があるのでしょうか。
①話し合いでの合意に基づく離婚(協議離婚)
話し合いで離婚ができる場合には、郵便でやりとりするなどして離婚届を完成させ、当事者の本籍地、又は、届出をする人の所在地の役場に提出することで離婚が成立します。
なお、話し合いで離婚する場合でも、離婚後に問題が発生することを避けるために、養育費、慰謝料、財産分与、面会交流などについて、公正証書として離婚協議書を作成しておくことが大切です。
公正証書としての離婚協議書の重要性につきましては、以下のページをご参照下さい。
http://www.rikon-kamome.jp/890335218
②調停離婚、審判離婚 ③裁判(和解離婚、認諾離婚、判決離婚)
これらの裁判所での手続きを日本で行うことの可否は、「国際裁判管轄」が日本にあるといえるかによります。「国際裁判管轄」とは、ある裁判をどの国で行うことが出来るのかという各国裁判所の分担です。国際裁判管轄は、法律上で決められているものもありますが、離婚については法律上の決まりがありません。
離婚の国際裁判管轄については、これまでの裁判例をもとに、実務運用上、以下のような基準が確立しています。(最高裁判所大法廷昭和39年3月25日判決)。
原則:被告の住所が日本にあるときに、日本で裁判手続きができる。
例外:①原告が遺棄された場合、②被告が行方不明である場合、③その他これに準ずる場合には、原告の住所地が日本であれば、日本で裁判手続きができる。
明確な法律上の規定がないため、個別の離婚請求事件について日本に国際裁判管轄が認められるかの判断をするためには、裁判例や学説の検討が必要です。
なお、相手方が国際裁判管轄を争わず、裁判手続きに対応している場合には、その事件の日本の国際裁判管轄を肯定する要素になると思われます。
特に、調停の場合には、相手方が任意に調停に出頭していることを理由に、日本での調停手続きが認められた例が多数あるようです。
日本に国際裁判管轄が認められない場合には、配偶者の居住地で裁判手続きを行うことになります。
離婚ができるか否かを判断する法律は日本の民法ですが、その判断を行う裁判所が海外の裁判所になるということです。
海外の手続きで離婚が成立した後は、その国にある日本大使館、総領事館、又は、日本の本籍地の役所に届出をして、日本の戸籍に記載をする必要があります。
平成27年7月16日
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