2015年4月に経団連が発表した標準的な退職金は,大学卒が2357万円,高校卒が2154万円でした。
この金額をみると,退職金が財産分与の対象に含まれるか否かにより,大きな違いが生じることがわかります。
財産分与は,夫婦が協力して築いた財産をわける制度です。
通常,婚姻期間中の給与は夫婦が協力して築いている財産と考えられています。退職金は,その給与の後払いという側面があります。
しかし,一方で,退職金は会社の経営状況や退職の時期などに左右され,受給できるかどうかは不確実です。
では,将来支払われる退職金は,どのような場合に財産分与の対象とされ,どのように分与されているのでしょうか。
1 財産分与の対象になると判断される場合
将来の退職金は,「退職金の支給を受ける見込みが高い」と判断される場合には,財産分与の対象とされているようです。
この「退職金の支給を受ける見込み」を判断する際には,以下のような項目が考慮されます。
① 退職金が支払われるまでの期間
定年が10年以上先であると,財産分与の対象とするのは難しいという見解がある一方,定年が相当先であっても財産分与の対象としつつ,支給が不確定であることは金額を下げるなどして考慮するケースもあります。
② 退職金が支払われることが就業規則や雇用契約書で明記されているか
明記されている場合には,その規定に沿って,退職金が支払われる可能性が高くなります。
③ 会社の規模,経営状況
定年まで会社が存続している可能性が高いといえるかは,退職金の支給の見込みを判断する際に重要な要素です。
④ 勤務状況
転職を繰り返しているような場合には,退職まで勤めあげて退職金をもらう可能性は低いと判断される要素になります。
2 金額の算定
仮に別居時に自主退職した場合の退職金の金額を基準に計算されることが多いように思われます。
具体的な計算式は,
退職金 × (婚姻期間 ÷ 退職金算定の基礎となる期間)
となります。
予測される定年退職時の退職金から,別居後の労働分,及び,中間利息を引いた金額を基準に計算されることなどもあります。
3 支払いの方法
他の財産の分与とあわせて,一括で支払う方法がとられる場合が多いように思われます。
この他にも,退職金が現実に支払われた時に,一定額を支払うという取り決めをしておく方法が採用されることもあります。
将来の退職金の財産分与での取り扱いについては,裁判所での取り扱いも固まっておらず,当事者がきちんとした主張をしていくことが重要といえます。
平成27年8月3日
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