日本では、戸籍の制度が整備されています。そのため、日本で社会生活を送る上で、さまざまなサービスを受けるためには、戸籍謄本等を提出して身分を証明しなければならない場面が多くあります。
通常、戸籍は、出生届が提出されたときに作成されます。
しかし、戸籍制度に反対している親が届け出をしない場合等、無戸籍の状態となってしまうことがあります。
無戸籍の状態が発生するケースの多くは、血縁上の父親でない人が、戸籍上、父親と記載されることを避けるために、届け出がされないことが理由となっています。
具体的には、民法772条において、夫や前夫が法律上の父親であることが推定されます(これを、「嫡出推定」といいます。)。そこで、血縁上は夫や前夫が父親ではない場合でも、そのまま届け出をすると、戸籍上、血縁上の父親でない人が、その子の父親と記載されることになります。これを避けるために、届け出をしないという選択をする人がいるということです。
特に、夫のDVから逃げているような状況の場合には、消息が知られることを恐れ、届け出をしないケースがあるようです。
しかし、戸籍がないと、行政から認知されないために小学校の入学等について連絡が来ず、学校に通うことができないといった事態が発生することがあります。また、パスポートを発行することができなかったり、社会保障を受けることができないといった支障も生じます。
そこで、懐妊が離婚後であることを医師に証明してもらい、その証明書を添付して出生届を提出することで、無戸籍を回避する方法があります。これができない場合には、嫡出推定を否定するための手続きを裁判所で行い、その書類を添付して届け出ることが必要になります。
なお、無戸籍の状態でも、住民登録を行うことで、就学の手続き、国民健康保険の適用、各種手当の支給等の行政サービスを受けることができる可能性があります。
無戸籍による不利益は非常に大きなものです。
無戸籍の問題で悩まれている場合には、お近くの弁護士に相談してみてください。
平成29年1月16日
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