弁護士は、ご依頼を受けたときは、依頼者のために最善の結果となるように努力します。
単に経済的な利益を求めるだけでなく、お金がかかってもよいから、早く紛争を終わらせたいとか、親権がとれればよいとか、親に内緒で解決したいとか、依頼者の様々なご要望にお応えできるように最善を尽くします。
しかし、弁護士倫理や信義則に反するようなご希望には添えません。反社会的なご要望があったとしても、お手伝いすることはできません。
ご自身では正義だと思っていても、第三者的な視点からみると非常識であるような場合は、できるだけ依頼者にご理解いただくように丁寧に説明します。
説明を尽くしても、なお、不合理な主張や要求をする場合には、やむを得ず辞任させていただくこともあります。
つまり、弁護士は、依頼者の代理人として、依頼者のために最善を尽くしますが、依頼者の言いなりに動くわけではないのです。
調停や裁判で、主張をする際、書面を作成することがあります。基本的には、依頼者から聞き取った内容を、弁護士が法的観点から整理して作成します。依頼者の希望ができるだけ通りやすくなるように、弁護士が知識と経験をフルに活かして作成します。
そして、裁判所や相手方に提出する前に、念のため、事実関係に齟齬がないか依頼者に確認していただきます。事実を体験しているのは依頼者様ご本人だからです。そして、事実関係に誤りがある場合は、修正して、提出することになります。これが通常の流れです。
ところがこのとき、もっとこのような主張もしたいとか、相手方の主張に対し反論してほしい、などと言って、ご自身の文章を追加して記載することを求める方がいらっしゃいます。依頼者は、紛争当事者ですので、調停や裁判に至るまで様々な出来事があり、感情的な軋轢をたくさん抱えています。調停や裁判は、言ってみればそのような感情を逆なでにするような出来事を再体験することにもなりますので、様々なご意見があるのは十分に理解できるところです。
しかし、結論から言うと、依頼者自身の言葉を書面に追記すると、たいていの場合、書面のクオリティが落ちてしまいます。弁護士は、専門的な知識と経験に基づいて、依頼者の希望をくみ取った上で、最善の書面を作成しようとしますので、それを一般の方の目線で修正しようとすると、どうしても、主張が曇ってしまったり、いたずらに紛争を拡大することになってしまうのです。
調停は話合いですので、書面も、相手方に向けたメッセージという意味合いがありますが、特に、訴訟の場合は、裁判官との間の書面を通じた会話という意味合いが強いので、感情的な素人の言葉が紛れ込んでしまうと、たいていはデメリットしかありません。
それでも、依頼者がどうしても、このように書いて欲しいと希望される場合には、依頼者自身が書いた書面として別途作成して提出することがあります。あるいは、些細なことであればデメリットが軽減されるように工夫して付記することがあります。ただ、法的にはほとんど意味がないため、感情を発散させるための「ガス抜き」の効果しかありません。
反対に、弁護士に任せっぱなしで、何も言わないという方もいらっしゃいます。
弁護士に依頼すると安心してしまうのか、丸投げ状態となり連絡がなかなかつかなくなってしまうこともあります。
弁護士は確かに法律のプロなのですが、紛争を体験した当事者ではありません。そのため、依頼者が体験した事実については、できるだけ詳細にお聞かせいただいた方が、真の紛争解決につながります。自分に不利益な事実や恥ずかしい出来事などは、話しづらいかもしれませんが、相手方から追求されるよりは、味方である弁護士に相談して最善の解決方法を模索した方が良い結果になりやすいです。
多くの依頼者が、弁護士に依頼するのが初めてという方です。そのため、弁護士とどのように連携してやっていけばよいのかわからないことも多いと思います。そのような場合、遠慮せず、ご意見をどんどん言って頂いてかまいません。ただ、弁護士は、最終的に、依頼者にとって一番利益になることは何かということを常に考えていますので、目先のご要望には添えないこともあります。
体験した事実については、できるだけ詳細にお話ください。また、ご主張されたいことも遠慮なくおっしゃってください。ただ、法的な主張にかかわる部分については、弁護士の担当パートですので、お任せ頂いた方が上手くいくと思います。
平成30年11月16日(金)
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