実務上,婚姻費用・養育費は,請求する側(権利者)と支払義務を負う側(義務者)の収入を,裁判所で使用されている算定表に当てはめる方法で算出されています。
算定表では,大学生の生活費に関して,教育費として,年間33万円程度が加味されています。
しかし,年間33万円程度では,大学の学費をまかなうことは困難です。そこで,学費の分担については,別途,協議が必要となることがあります。
学費について,義務者が支払うべきかという点に関しては,親の資力,学歴,社会的地位等から,通常,高校卒業以上の高等教育を受ける家庭環境であるといえるかどうかがまず判断されます。
さらに,進学について義務者が承諾していたのか,どのような条件が前提で承諾していたのか,子がアルバイトできない事情があるのかという点等が考慮されます。
例えば,子どもが私立大学に進学することについて夫が同意していた場合,その後に婚姻費用や養育費の支払い義務が生じる事情が生じた際には,夫が私学の学費を負担すべきと判断される可能性が高いでしょう。
一方,夫が国公立の大学への進学を強く主張していたものの,夫に連絡することなく,妻と子が勝手に私立への進学を決めた場合,夫が私学の費用を負担することは当然には認められません。
裁判例として,夫が大学進学を承諾していたものの,奨学金を受けることが前提であり,子どもがアルバイトをすることが出来ない状況にあると認めるに足りる的確な資料がない等として,算定表で算出された養育費以上の負担を認めなかったものがあります(東京家決平成27年8月13日)。
平成29年5月23日
離婚に関するご相談ならどのような相談でもお気軽にお問い合わせください。
<よくあるご相談>
依頼者にとって便利な場所に、ということで、交通便利な金山に事務所を設立しました。
老若男女問わず、愛知県全域の皆様から愛される事務所を目指しております。お子様連れの方やご年配の方も安心してご来所ください。