養育費とは、子どもが社会人として自立して生活できるまでに必要となる費用です。
子を監護している親が、監護していない親に対して請求することができます。
養育費を支払う側には、生活保持義務といって、自分の生活と同程度の生活を子らにも保持させる義務があります。
金額は、義務者と権利者の収入、子の年齢、子の人数により、おおよそ決まってきます。東京・大阪養育費等研究会がまとめた算定表に基づいて算定されるのが一般的です。拘束力のある基準ではありませんが、家庭裁判所でも、この算定表に基づいて調停や審判がなされています。
→算定表はこちら(東京家庭裁判所HP)
算定表には、義務者の年収が2000万円の場合までしか載っていません。
養育費は、そもそも子どもが社会人として自立するために必要となる費用ですから、親の収入が多いからといって、莫大な教育費をかけるのが良いということではありません。そのため、算定表の上限のゾーンの辺りで決定されることが多いようです。もっとも、個別事情により異なりますので、ケースバイケースで判断していく必要があります。
また、算定表の元になっている計算式がありますので、それにあてはめて計算をすると年収がいくらの場合でも、だいたいの数字を算出することは可能です。算定をご希望の方は、お気軽に弁護士までご相談ください。
算定表は、さまざまな事情を考慮して作成されていますが、特別な事情がある場合は、算定表とは違う金額で養育費が決定されることもあります。
例えば、私立学校に通う費用は、算定表に含まれておりません。したがって、両親の教育水準や経済的事情等から、子を私立学校に通わせるのが妥当と判断されるような場合には、これを加算して認定することも考えられます。
また、当事者の合意があれば、算定表と違う金額で取り決めをすることも可能です。
養育費は請求した時点以降からもらえることになります。過去の養育費を請求することは原則としてできません。
通常は、子が20歳になるときまでとされることが多いです。大学卒業までと決めることもありますが、この場合、大学に行かなかった場合や留年、浪人した場合、大学院に進学した場合など、様々なケースを想定して条項を取り決める必要があります。
また、養育費は、毎月、振り込んでもらうのが通常ですが、まれに一括での支払いを希望される方がみえます。相手方が同意すれば、一括で受け取ることも可能ですが、贈与税がかかることがあるので注意が必要です。
養育費の取り決めは離婚の際に、当事者で協議して決めるのが第一です。
口約束や、普通の紙に書いた合意書でも効力はありますが、当事務所では、公正証書による合意書の作成を強くお勧めしています。
なぜなら、養育費の支払いは、長期間にわたるため、支払いがストップしてしまった場合に、この合意書を元に差押えをする必要があるからです。公正証書にしておかないと、いったん裁判にしてからでないと差押えをすることができないので手間がかかります。
話し合いで決められない場合は、調停をするしかありません。
調停の中では、算定表にしたがって取り決めがなされることがほとんどですので、これを違う金額を主張する場合は、よほど特別な事情をアピールしなければなりません。
調停でも決まらなければ、審判で裁判官に決めてもらうことになります。
養育費の支払いは長期にわたりますので、途中で支払が止まってしまうこともよくあります。このような場合、次のような手順で請求を試みます。
これは養育費が支払われなくなった場合に、家庭裁判所に、支払うよう勧告してもらう制度です。強制力はありませんが、裁判所から勧告されると相手方にプレッシャーがかかるので、支払ってくることもあります。電話1本で簡単にできますので、まずは試してみることをお勧めします。
給料や預金を差し押さえる方法です。
給料の差押えは、1回押さえると、ずっと継続されますので、とても効果的です。ただし、相手方が転職してしまった場合に困るので、転職先を常に把握しておく必要があります。また、差し押さえられる金額は、給与の2分の1に限られています。
預金については、銀行名と支店名まで把握していることが必要です。口座番号まで調査する必要はありません。どこの銀行なのかわからない場合や、相手方がお金を引き出してしまったような場合は効果がありません。
いったん調停などで取り決めた養育費の額を後から変更することは簡単ではありません。
しかし、そうは言っても、養育費の支払は長期にわたりますので、失業や再婚など生活環境や経済状況が変わることも多くあります。そこで、事情の変更があった場合、再度協議して合意書を作り直したり、養育費減額(増額)の調停を申し立てることができます。
義務者の収入が大幅にダウンしたり、再婚して扶養家族が増えたような場合は、減額が認められることもあります。
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