妻が子を連れて、突然、家を出てしまったのだけど、家出した理由が全くわからない、という男性からの相談が増えています。
離婚相談”あるある”の一つです。
このような事例では、妻側からモラハラの主張をされることが多いです。
そして、夫側の典型的な言い分は次のようなものがあります。
①そんな暴言を吐いた覚えはない、でっちあげだ。
→悪気なく妻を傷付けているため覚えていない。
②妻と直接話しがしたい。話せばわかるはずだ。妻は実家の両親に言いくるめられているに違いない。
→直接話せば言いくるめることができると思っている。妻は言い返せなくなっているだけなのに。
③子どものことを考えているのか。子の連れ去りだ。夫には子と面会する権利がある!
→普段は妻に子育てを任せきりなのに、急に子どもと会いたがる。
④妻の言い分は、全部、論破できますよ。たいした主張じゃないですね。
→論破しちゃダメなのに気付いていない。
男性はとかく理屈で物事を考えがちです。仕事の場面では、計画をたて合理的に物事を考えて遂行することが求められますので、頭が良く論理的に思考する人は、仕事ができる優秀な人材として評価されやすいでしょう。
ところが、そのような人は、家庭でも、論理的、合理的に物事を進めようとする傾向があるようです。妻と喧嘩になったときにも、理詰めで説明して妻の理解を得ようとします。
これに対し、妻の気持ちは理屈で説得されて解決されるものではなく、ちょっと冷たくされたからとか、もう少し感謝の気持ちを示してほしいとか、情緒的な不満足からきていることが多いです。ただ単に共感を求めているだけのことが多いのです。解決案など求めていません。
夫としては、自分の言い分の方が筋が通っているのになぜ妻は理解しないのか、「お前は馬鹿か」と暴言を吐きたくなってしまいます。学歴や収入が夫の方が上の場合、さらに妻を見下すような発言をしたりします。
しかし、夫婦喧嘩においては、筋が通っているとか、論理的であるというのは、たいして重要ではありません。逆に、夫が妻の言い分を論破してしまうと、妻は常に我慢を強いられてストレスをためることになります。
いつまでたっても夫はこれに気が付きません。なぜなら、確かに理屈では夫の言っていることが「正しい」からです。そして、妻も何となく言いくるめられ、ストレスを蓄積させていきます。
このようにして、夫が妻を支配し、妻が不満を募らせて「夫には何を言っても通じない」ということになるのです。夫としては、根気強く話をしたら妻が理解してくれた、などと勘違いしています。妻は我慢するしかなくなってしまうので、表面的には、平穏な家庭にみえることもあります。そして、ついに耐えられなくなり、妻は子を連れて実家に帰ってしまうのです。
出て行く前は、事を荒立てないために、歯を食いしばって平穏を装っています。
そのため、夫からみると、「妻が突然出て行った。なぜ、出て行ったのかさっぱりわからない。勝手なことしやがって。子どものことをちゃんと考えているのか」ということになります。
妻からみると、「夫は話しを聞いてくれない。自分の言い分を押し付けてくる。何を言っても無駄だ。もう限界だから出て行くしかない」ということになります。
弁護士としては、あまりにも典型的な事例なので、壊れたテープレコーダを繰り返し聞かされているような気分にもなります(失礼。。)。
妻は自分の気持ちに共感してほしいだけなのです。頑張って家事や育児をこなしていることを評価してほしいだけなのです。
これに気が付かない夫は、「ただいま~」と家に帰ると、そこには誰もいなくなっているかもしれません。
怖いですね~
平成30年12月14日(金)
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