不貞相手に慰謝料請求できる条件・相場を弁護士が解説
配偶者の不貞行為があった場合、不貞相手に対しても慰謝料を請求できることがあります。もっとも、どのような場合に、どの範囲で請求できるかについては、最高裁判所の判例により重要な整理がされています。今回は、不貞相手への慰謝料請求が認められるための要件と、慰謝料の相場を名古屋の弁護士が解説します。具体的な請求の進め方(証拠収集後の手続の流れ)については、不貞相手に慰謝料請求する方法|手続の流れと注意点を解説(コラム49)をご覧ください。
不貞相手に対する慰謝料請求を考えるときは、2種類の慰謝料を区別する必要があります。
・不貞慰謝料:配偶者と第三者が不貞行為(性的関係)に及んだこと自体によって被った精神的苦痛に対する慰謝料
・離婚慰謝料:不貞行為が原因で離婚に至ったこと自体によって被った精神的苦痛に対する慰謝料
不貞相手に対しては、不貞慰謝料は次に説明する要件を満たせば請求できますが、離婚慰謝料については、最高裁判所の判例により、請求できる場合が限定されています。
最高裁判所第三小法廷平成31年2月19日判決は、夫婦の一方は、他方と不貞行為に及んだ第三者に対して、当該第三者が夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情がない限り、離婚に伴う慰謝料を請求することはできないと判断しました。
つまり、単に不貞行為があっただけでは、離婚慰謝料までは不貞相手に請求できないのが原則であり、離婚について不貞相手が積極的に働きかけたといった特段の事情がある場合に限り、例外的に請求が認められることになります。
不貞相手に不貞慰謝料を請求するためには、一般に次のような点が問題となります。
・不貞相手に故意又は過失があったこと(相手に配偶者がいることを知っていた、又は知り得たこと)
・不貞行為があった当時、婚姻関係が破綻していなかったこと
不貞相手が、相手に配偶者がいることを知らず、かつ、知らなかったことについて過失もなかった場合には、慰謝料請求が認められない可能性があります。また、不貞行為の時点で夫婦関係が既に破綻していた場合には、不貞行為によって婚姻共同生活の平和が害されたとはいえないため、慰謝料請求が認められないことがあります。これらの評価は、別居期間の長さや夫婦間のやり取りの状況など、個別の事情によって判断が分かれます。
不貞慰謝料の金額は、婚姻期間、不貞行為の期間・回数、婚姻関係への影響の程度、離婚に至ったかどうかなど、様々な事情を考慮して個別に判断されます。一般的な目安として、100万円から200万円程度の範囲におさまるケースが多いとされていますが、事案によってはこれより高額・低額になることもあります。
不貞慰謝料請求権は、被害者が損害及び加害者を知った時から3年、不貞行為の時から20年で、時効によって消滅します。時効の完成が近づいている場合、内容証明郵便で請求(催告)をすると、その時から6か月間は時効の完成が猶予されます。もっとも、これはあくまで一時的に時効の完成を先延ばしにするものにすぎず、その6か月の間に訴訟提起など、時効の完成猶予や更新につながる法的手続を取らなければ、時効が完成してしまいます。不貞相手への請求を検討している場合は、時効期間を踏まえ、早めに弁護士にご相談ください。具体的な請求の進め方は、不貞相手に慰謝料請求する方法|手続の流れと注意点を解説(コラム49)をご覧ください。
不貞相手への慰謝料請求が認められるかどうかは、故意・過失の有無や婚姻関係破綻の有無など、事案ごとの評価によって結論が分かれます。ご自身のケースで請求が可能かどうか、まずはお気軽に当事務所までご相談ください。
令和8年9月30日
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