離婚後に時間が経つと,養育費が支払われなくなるということがよくあります。
統計でも,離婚後0~2年目に養育費の支払われている割合は27.8%程度ですが,4年目以降になると,16.5%に低下します(厚生労働省,離婚母子世帯における父親からの養育費の状況)。
養育費の不払いは,子どもの生活に大きな影響を与えますので,支払いを受けることができるようにする必要があります。
どのような手段をとることができるのか,ご説明します。
1 養育費の取り決めをしていない場合
養育費について取り決めを行うために,家庭裁判所に対して,調停の申立てを行うことをおすすめします。
裁判所で取り決めができると,「強制執行」という方法をとることができます。強制執行とは,お給料や銀行の預金を差し押さえたり(「直接強制」と言います。),養育費を支払いが遅れることに対して,裁判所が金銭の支払いを命じる手続です(「間接強制」と言います。)。
養育費を支払う義務がある者(義務者)が,強制執行を恐れて,自発的に支払ってくることも期待できます。
2 養育費について離婚協議書を作成した場合
二人が署名・押印したのみで,「公正証書」にしていない離婚協議書では,強制執行等の手続を行うことはできません。「公正証書」とは,公証役場という場所に行き,法律の専門家である公証人に作成してもらう文書です(強制執行を行うためには,強制執行ができる内容になっていることが必要です。)。
義務者が支払いをしないということは,話し合いで,公正証書を作るようにすることは難しいと思われますので,取り決めをしていない場合と同様に,家庭裁判所に調停を申し立てることをおすすめします。
3 養育費の取り決めについて公正証書を作成した場合
① 直接強制
直接強制とは,義務者の財産(給与,預貯金,不動産など)を差し押さえる手続です。給与を差押えの対象とすれば,将来の養育費についても,義務者の職場から直接支払ってもらうことができます(例外的に対応してくれない会社もあります。)。
この手続を行うためには,相手方の財産について,情報を得ておく必要があります。例えば,給与を差し押さえる場合には勤務先,預金を差押える場合には,銀行や支店名の情報が必要です。② 間接強制
間接強制とは,裁判所が,義務者に対して,一定の期間内に養育費を支払わない場合に,支払日から1日遅れるごとに〇円というように,支払いを促すための強制金の支払いを命じる手続です。
この手続は,直接強制のように,差押えをするための財産を特定しなくても行うことができます。
4 養育費の取り決めを裁判所で行った場合
① 履行勧告
裁判所から,義務者に対して,養育費を支払うように勧告をしてもらう手続です。養育費について決めた家庭裁判所に対して,履行勧告をするよう,口頭や電話で伝えることで手続きができます。また,費用もかかりませんが,強制力はありません。
② 履行命令
裁判所が,義務者に対して,養育費を支払うように命令する手続で,義務者が正当な事由がないのに従わない場合には,10万円以下の過料という制裁があります。
③ 直接強制・間接強制
公正証書を作成した場合と同様に,直接強制や間接強制を行うことができます。
平成28年7月22日
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