相殺とは、自分が相手に金銭を支払う代わりに、相手が自分に支払わなければならない金銭を消滅させることを言います。
相殺は、一方的な意思表示でもできますし、お互いの合意によっても行うことができます。
離婚の際、養育費をもらう側が、慰謝料を支払う義務を負うことがあります。例えば、妻が不貞行為を行ったことが原因となり、妻が子どもの親権を取得した上で、離婚するケースです。
このような場合、養育費と慰謝料を相殺したいという要望がでることがあります。
しかし、法律上、慰謝料と養育費を相殺することはできないこととなっていますので、注意が必要です。
まず、一方的な意思表示によって相殺が認められない理由は、3点あります。
1点目:相殺が認められるためには、養育費と慰謝料の両方について、支払いを行わなければならない時期が到来している必要があります(民法505条1項)。
しかし、養育費の支払い時期は、原則として、月ごとに発生しますので、支払いの時期が到来していないことになります。
2点目:養育費は、子どもの生活を支える性質のものですので、相殺の対象とすることが禁止されています(民法510条)。そのため、養育費を支払う側が、相殺を一方的に行うことはできません。
3点目:慰謝料は、不法行為によって生じるものであるため、被害を受けた人を保護する必要があることから、相殺の対象とすることが禁止されています(民法509条)。そのため、慰謝料を支払う側が、相殺を一方的に行うことはできません。
では、一方的な意思表示ではなく、合意なら相殺はできるのでしょうか。
実は、養育費を相殺の対象とする合意は、有効とはいえません。
なぜなら、養育費は、子どもの生活を守るためのものであり、子どもが請求権を持っています(民法881条)。そのため、これを親権者が勝手に放棄をすることはできないのです。
平成28年11月21日
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