慰謝料とは、浮気や暴力などにより、他方の配偶者が精神的苦痛を被った場合に支払われるお金のことです。
離婚をした場合に必ず慰謝料が支払われるわけではありません。
あくまでも、相手方の違法な行為により婚姻関係が破綻したような場合に限られます。
精神的苦痛を金銭に換算するのは簡単ではありませんが、東京家庭裁判所のデータによると、100万円~300万円の場合が50%、100万円以下が28%、300万円以上が19%となっています。
東京家庭裁判所のデータより
金額の算定要素としては、次のようなものがあります。
例えば、次のような場合に、慰謝料が発生します。
双方が浮気をしていたりするなど、双方に離婚の責任がある場合は、慰謝料は認められません。あるいは,有責性の強さを比較して,違法性が強い方が弱い方に支払うということもあります。また、価値観の違い、性格の不一致などでは、慰謝料は発生しません。
肉体関係を伴う浮気のことを不貞行為と言います。
浮気していることを認めているケースでは問題ありませんが、通常、不貞行為は、密室で行われますから、相手が浮気を認めない場合、不貞の証拠をつかむのは容易ではありません。
裁判上、証拠として有力なものとしては、以下のものがあります。
ホテルに入るとことと出るところの写真があれば、不貞があったと認定されるのが通常です。
OLと上司が不倫をしたようなケースで、人生相談をしていただけだ、などと言い訳をすることが時々みられますが、まず認められません。
ただ、興信所の調査には多額の費用がかかるため、相手の行動をあらかじめ観察した上で、できるだけ調査日時、場所を絞って依頼することが大事です。
当事務所では、良心的な、探偵事務所をご紹介しておりますので、必要な際にはご相談ください。
最近は、メールのやり取りが裁判上、重要な証拠となることが増えています。但し、仲良くメールしているだけではダメで、宿泊をデートの約束をしていたり、性行為を連想させるようなやり取りがあると強いカードになります。
ラブホテルの領収書やクレジットカードの明細書から、浮気が発覚することがあります。ETCカードの履歴などで、相手方の行動が推測されることもあります。
相手方の日記や浮気相手からきた手紙はもちろんですが、自分で夫の行動や発言をメモしておくことも証拠として使えることがあります。
浮気の証拠ではありませんが、浮気をされたことでうつ病になってしまったような場合は、診断書を取っておいた方が良いです。精神的苦痛の程度を証拠で証明することは簡単ではありませんが、診断書があれば有力な証拠となります。
浮気や暴力などの相手方の違法な行為があることが必要ですが、これが認められる場合でも、慰謝料の請求ができない場合があります。
すでに破綻している相手が浮気しても精神的苦痛を被ることはないと考えられているからです。
不貞相手も騙されていたわけですから、故意・過失が認められないからです。
慰謝料には、①相手方の違法行為(不貞、暴力)により離婚することになってしまったことについての慰謝料と、②相手方の違法行為自体についての慰謝料の2つがあります。
慰謝料の時効は、①の場合、離婚から3年、②の場合、違法行為から3年です。
不貞があったとしても、いったん仲直りして3年が経過した後、やはり関係が悪化して離婚したような場合、不貞行為自体の慰謝料は時効により請求できませんし、離婚自体の慰謝料については不貞が原因で離婚したとはいえないため請求できません。
もっとも、後者の場合、浮気したことが、本当に離婚と無関係なのか、詳細に検討する必要があります。
不貞相手と配偶者は、共同で不貞行為をしているため、責任も共同で負うことになります。
被害者である、他方の配偶者は、どちらに対しても、全額を請求することができますが、どちらか一方が全額を支払った場合は、他方には請求できなくなります。
もちろん、300万円請求できる場合で、一方から100万円しか支払ってもらっていない場合は、他方に対し、200万円を請求することができます。
果たして、慰謝料がいくら請求できるのかは、最終的には、判決がでなければわかりませんので、交渉の場面では、一方から支払を受けていても、他方に対し請求できるケースは多くあります。一方からもらっている場合でも、あきめないで弁護士にご相談ください。
離婚をする際に慰謝料を請求するのが一般的です。
ただ、理屈としては、離婚をしなくても、浮気をされたり暴力を振るわれたりしたら、配偶者に対し、慰謝料を請求することはできます。
もっとも、婚姻中の夫婦が慰謝料を請求し合うことは珍しいです。このような場合、普通は、浮気相手に請求します。
例えば、不貞相手に対し請求することがよくあります。
この場合、内容証明郵便を送付して交渉し、合意できた場合は合意書を交わします。
決裂した場合は、民事裁判を提起するのが一般的です。
法廷では主張や証拠のやり取りをしますが、途中で和解しない限り、不貞相手を法廷で証人尋問することになります。
例えば、お父さんが愛人を作って家を出て行ってしまったような場合、子どもが精神的苦痛を被ったとして女性に対し慰謝料請求することはできるのでしょうか。
この点、判例では、その女性が害意をもって父親の子に対する監護を積極的に阻止するような特段の事情がない限り、不貞行為と子の被った損害との間に因果関係が認められないとして、慰謝料の請求を否定しています。
よく芸能人が離婚したときに、慰謝料○億円!などといった報道がされることがあります。しかし、たいていの場合、その中身に財産分与も含まれていることがほとんどです。慰謝料だけでは、そのような金額にはならないと思います。
財産分与は、婚姻期間中に夫婦が共同で築き上げた財産を分けるというものですが、慰謝料は精神的苦痛に対する賠償です。趣旨が違うので別々に請求することもできます。
しかし、名目はどうであれ、お金で解決するわけですから、実務上、「財産分与及び慰謝料として○○万円」、「解決金として○○万円」などと、はっきり区別しないで解決することが多いです。
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