財産分与は,婚姻中に夫婦で築いた財産を分ける手続です。
婚姻関係にある夫婦の財産には,①特有財産(夫婦の一方が所有する財産)と②共有財産(夫婦が協力して得た財産)があります。
このうち,①特有財産については,原則として財産分与の対象とはなりません。
特有財産とは,具体的には,結婚前から所有していた財産,婚姻中に相続,贈与などで配偶者とは無関係に取得した財産,衣類などの一方に専用の物として購入されたもの等です。
ところで,財産の中には,次の例のように,特有財産であるのかが一見,明らかでないものがあります。
・ 親から夫婦の一方が贈与を受けた財産
親から子に対する贈与が行われた場合,その財産は,特有財産として扱われることが原則です。
しかし,夫婦が円満な生活を送るために行った贈与と認められる場合には,実質的には夫婦双方への贈与であったとみて,財産分与の対象として扱われることもあるようです。
・ 交通事故の人身損害賠償金や保険金
「慰謝料」については,精神的苦痛を慰謝するためのものであることを理由として,被害者の特有財産としつつ,「逸失利益」については,将来の労働に対する対価であり,配偶者の寄与を認め,財産分与の対象とした裁判例があります(大阪高裁平成17年6月9日決定)。
・ 宝くじや万馬券の賞金
宝くじや万馬券の賞金については,夫婦の協力によって形成された財産とは言えないため,原則として,特有財産となります。
しかし,財産分与の対象が万馬券の賞金で購入した不動産のみのケースにおいて,万馬券が小遣いを使用して購入されたこと,他方配偶者がその不動産の維持管理に寄与したことなどを理由に,財産分与の対象とした裁判例があります(奈良家裁審判平成13年7月24日)。
・ 不貞発覚の不満を抑える目的で贈与された不動産
婚姻中に共有財産で購入した不動産は,基本的に,共有財産として財産分与の対象となります。
しかし,夫の不貞行為が発覚し,妻の不満を抑える目的で夫が妻に贈与した不動産につき,妻の特有財産に当るとして財産分与の対象としなかった裁判例があります(大阪高裁平成23年2月14日)。
また,特有財産であっても,他方配偶者がその財産の価値の減少を防止した場合や,財産の維持に寄与した場合には,その財産の一定の割合が他方配偶者に分与されることがあります(京都地裁平成5年12月22日判決,東京高裁昭和55年12月16日判決)。
平成28年6月27日
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