熟年離婚というと、中高年の離婚というイメージですが、必ずしも年齢が基準になるわけではなく、結婚してから20年経過している場合を熟年離婚と言っております。
平成19年と平成20年に年金分割制度が改正されたことも影響して、熟年離婚が急増しています。「熟年離婚」というドラマが話題になったことも、原因の1つかもしれません。
相性が合わないからすぐに別れるといった「成田離婚」「若年離婚」に対し、熟年離婚は、長年ガマンしてきたうっぷんが、子の独立、夫の退職などを機に、爆発するということが多いです。他方の配偶者にとっては、「普通に生活していたのになぜ?」「寝耳に水である」というのも特徴です。
以下、熟年離婚で問題になりやすいポイントについてご説明します。
熟年離婚をすることで、長年の苦しみから解放されたり、今までのしがらみを断ち切って新しい生活を始めることができるというメリットがあります。
熟年離婚のデメリットとして、最も深刻なのが、やはり経済的な問題です。特に、女性の場合、就職先が限られてしまうので、財産分与や年金分割などを確保して、計画的に離婚をしないと大変不自由な生活を強いられることになってしまいます。
熟年離婚は、年齢のため離婚後の再就職が難しいという問題があります。
そこで、離婚後の生活をいかに確保するかという点が大変重要です。
まず、婚姻期間中、夫婦で築き上げた財産を2つに分けるという作業が必要です。これを財産分与といいます。
熟年離婚では、自宅のローンも支払い終わっていることが多いですが、たいていは夫名義になっているため、財産分与の請求をしないと、そのまま夫の財産ということになってしまいます。また、預金についても、夫名義の口座になっていることが多いため、ちゃんと請求しないと、全部夫のものになってしまいます。
また、妻に内緒で、夫が株式投資をしていることもあり、どのような口座を持っているのか調べる必要があります。
このように、財産の名義にとらわれることなく、夫婦で築き上げた共有財産をリストアップして分けることが大事です。
熟年離婚では、財産も高額となることが多いため、不動産や株式の査定をするなど、専門家による調査、助言を経ることが必須といえるでしょう。
→詳しくは、財産分与のページへ
熟年離婚では、すでに長期間にわたり年金の納付していることが多いですから、年金分割による影響は大きいです。これを知らずに放置していると、とてももったいないことになります。
なお、この場合、分割されるのは年金額ではなく、過去の納付実績が分割されるというだけですので、給付額がそのまま半分になるわけではありません。
まずは、年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を取得して、どの程度の分割が受けられるか確認してみることをお勧めします。
分割の割合については、たいていの場合、50%になることが多いですが、財産分与や慰謝料等の他の条件次第では、割合を下げることもあり得ます。5分5分ではおかしいと思われる事情がある場合は、お気軽にご相談ください。
→詳しくは、年金分割のページへ
熟年離婚をした場合、相続関係がどうなるのか気になる方もいらっしゃると思います。また、第二の人生をスタートさせるにあたり、エンディングプランも検討したいという方もいることでしょう。
多くの場合、きちんとした遺言を残しておけば、相続争いは避けられるものです。熟年離婚をするにあたり、相続関係やご自身の葬儀、遺言についてお考えでしたら、遠慮なくお尋ねください。
女性が熟年離婚をする場合、気をつけなければいけないのは、やはり離婚後の経済的な生活をどうするかということです。
夫との生活が耐えられないからといって、とりあえず離婚だけするというのはお勧めできません。
年金分割をしたら、いくらくらい受給できるのか、財産分与は受けられるのか、といった点について、専門家の助言を受けながら計画的に離婚をすることが大事です。
成田離婚と異なり、時間的な準備期間はあることが多いですので、事前に、夫名義の財産を把握したり、年金事務所で、年金受給額について調べることがとても大切です。
衝動的に離婚するのではなく、弁護士に相談してから、ゆっくり作戦をたてましょう。
男性の場合、妻から突然離婚を切り出されて面食らっている、という方が多いです。
家族のために、一生懸命仕事をして頑張ってきたつもりが、退職したとたん、妻から離婚を切り出される……これ以上の、苦痛はありません。
法律で定められた離婚事由がなければ、裁判でも簡単に離婚することはできませんので、離婚に同意できないのであれば、まずは、話し合いをすることです。反省すべき点があるのであれば反省し、謝罪することで、修復できる場合もあります。当事者同士での話し合いが困難であれば、弁護士が間に入って調整することも可能です。
また、すでに、修復が困難な状態になっているのであれば、できるだけ痛みをやわらげるため、財産分与の方法や年金分割の割合で交渉していくことも可能です。
とにかく、妻から突然の離婚を切り出されたら、まずは弁護士に相談して問題を整理することです。それから、一緒に、ベストの選択肢を考えていきましょう。
離婚に関するご相談ならどのような相談でもお気軽にお問い合わせください。
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