特に女性の相談者から、離婚後の生活が不安で離婚に踏み切れないなどという相談が寄せられることがあります。
そこで、離婚後に受けられる公的扶助や年金、保険等についてご説明します。
日本では、皆さんのすべてが「健康保険」か「国民健康保険」のいずれかに加入しておられます。
「健康保険」は、主にサラリーマンの方が加入する保険で、「国民健康保険」は、自営業や農業従事者、無職の方が加入する保険です。
さて、離婚した後、この医療保険の加入資格はどのようになるのでしょうか。
(1)国民健康保険 → 健康保険
配偶者を世帯主とする国民健康保険に加入していた場合で、離婚後、すぐに就職する場合は、勤務先を通じて健康保険の加入手続をとります。
(2)健康保険 → 健康保険
配偶者の被扶養家族として健康保険に加入していた場合で、離婚後、すぐに就職する場合は、勤務先を通じて健康保険の加入手続をとります。
(3)国民健康保険 → 国民健康保険
配偶者を世帯主とする国民健康保険に加入していた場合で、離婚後、すぐに就職しない場合は、住民票を移動する際に、配偶者の世帯から抜けて、新たな国民健康保険に加入することになります。
(4)健康保険 → 国民健康保険
配偶者の被扶養家族として健康保険に加入していた場合で、離婚後、すぐに就職しない場合は、配偶者から勤務先より被扶養者でなくなったことを証明する資格喪失証明書を取得してもらい、それを持って役所で国民健康保険の加入手続をとります。
(5)子どもの医療保険について
ご自身が加入する医療保険に子どもを加入させるためには手続が必要です。
配偶者の被扶養家族として健康保険に加入していた場合、親が離婚しても、子どもは配偶者の健康保険の資格を失いません。もっとも、資格を継続させる場合、病院に行く度に配偶者から保険証を借りなければならなくなることもあるので注意が必要です。また、新たに、ご自身の国民健康保険に加入させる場合は、資格喪失証明が必要です。
国民健康保険の場合は、住所に連動して別世帯になりますのでご注意ください。
(6)保険料の支払いが困難な場合
保険料の減額制度がありますので、役所の担当課にお問い合わせください。
母子家庭になると経済的に苦しくなるというのは事実です。そこで、国や自治体では、様々な公的援助を設けています。地域や自治体によって制度が異なりますので、詳しくは、市町村役場の担当課にお問い合わせください。
ここでは、参考までに主な制度についてご説明します(平成26年1月14日現在)。
父母の離婚などで、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭(ひとり親家庭等)の生活の安定と自立の促進に寄与し、児童の福祉の増進を図ることを目的として、支給される手当です(愛知県HPより転載)。
<受給資格>
次の要件に当てはまる18歳以下(18歳到達の年度の末日)の児童(一定の障害があるときは、20歳未満)を監護している母、監護し、かつ生計を同じくしている父、又は養育している方に支給されます。
1 父母が婚姻を解消した児童
2 父又は母が死亡した児童
3 父又は母が政令で定める程度の障害の状態にある児童
4 父又は母が生死不明の児童
5 父又は母が1年以上遺棄している児童
6 父又は母が裁判所からDV保護命令を受けた児童(平成24年8月から)
7 父又は母が1年以上拘禁されている児童
8 婚姻によらないで生まれた児童
9 棄児などで父母がいるかいないかが明らかでない児童
離婚した場合だけでなく、6のDV保護命令を受けたような場合にも、認められるようになりました。
支給額の目安(全部支給の場合、平成24年4月から)
児童1人のとき 月額 41,430円
児童2人のとき 月額 46,430円
児童3人以上のとき 3人目から児童1人増すごとに3,000円加算
詳しくは愛知県HPをご参照ください。
http://www.pref.aichi.jp/0000010953.html
児童手当制度は、児童を養育している方に手当を支給することにより、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的としています(愛知県HPより転載)。
<支給対象>
児童手当は、15歳に到達した日以降最初の3月31日までの間にある児童(中学校修了前の児童)を監護し、生計を同じくする(もしくは、生計を維持する)方に支給されます。基本的には、ご両親のうち所得の高い方が受給資格者となります。
支給額の目安
【一般受給者】
<所得制限額未満の受給者>
・0~3歳未満(一律) 15,000円
・3歳~小学校修了前(第1子、第2子) 10,000円
・3歳~小学校修了前(第3子以降) 15,000円
・ 中学生(一律) 10,000円
<所得制限額以上の受給者>
・年齢に関係なく一律 5,000円
※児童の出生順位の数え方
養育する児童(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童)のうち、年長者から第1子、第2子…と数えます。
詳しくは愛知県HPをご参照ください。
http://www.pref.aichi.jp/0000032629.html
生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とする制度です(厚生労働省HPより一部転載)。
(1)相談・申請窓口
お住まいの地域の福祉事務所です。通常、役所の中に担当部署があります。
(2)保護を受けるための要件等
生活保護は世帯単位でなされます。
保護費は、国民の税金が使われていますから、怠惰な人を保護するわけにはいきません。そのため、まずは世帯員全員が、資産、能力を十分に活用することが前提となります。また、世帯員により生活ができない場合でも、扶養義務者による扶養ができないかと検討します。それでも、最低限の生活ができない場合に、初めて生活保護の受給が認められます。
(3)資産の活用とは
預貯金、生活に利用されていない不動産・自動車等があれば、原則として売却することが必要です。
(4)能力の活用とは
当然ですが、働くことが可能な場合は、その能力に応じて働くことが必要です。
(5)あらゆるものの活用とは
年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを優先してください。
(6)扶養義務者の扶養とは
親族等から援助を受けることができる場合は、援助を受けることを優先してください。
(7)保護の種類と内容
生活を営む上で生じる費用 | 扶助の種類 | 支給内容 |
日常生活に必要な費用 (食費・被服費・光熱費等) | 生活扶助 | 基準額は、 (1)食費等の個人的費用 (2)光熱水費等の世帯共通費用を合算して算出。 特定の世帯には加算があります。(母子加算等) |
アパート等の家賃 | 住宅扶助 | 定められた範囲内で実費を支給 |
義務教育を受けるために必要な学用品費 | 教育扶助 | 定められた基準額を支給 |
医療サービスの費用 | 医療扶助 | 費用は直接医療機関へ支払 (本人負担なし) |
介護サービスの費用 | 介護扶助 | 費用は直接介護事業者へ支払 (本人負担なし) |
出産費用 | 出産扶助 | 定められた範囲内で実費を支給 |
就労に必要な技能の修得等にかかる費用 | 生業扶助 | 定められた範囲内で実費を支給 |
葬祭費用 | 葬祭扶助 | 定められた範囲内で実費を支給 |
詳しくは、厚生労働省HPをご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html
離婚すると姓はどうなるの?
結婚したときは、どちらか一方の配偶者の姓を名乗ることになります。
離婚したときは、元の姓に戻るのが原則ですが、婚姻中の姓を名乗ることもできます。
戸籍はどうなる?
結婚をすると、新しくどちらかの一方の姓を筆頭とする戸籍が作られます。
離婚をすると、戸籍から除籍されるため、結婚前の親の戸籍に戻るか、新たに自分の戸籍を作るか選択する必要があります。
まとめると、
①婚姻前の戸籍と姓に戻る。
②自分を筆頭者とする新しい戸籍を作り、婚姻中の姓を続けて名乗る。
③自分を筆頭者とする新しい戸籍を作り、婚姻前の姓に戻る。
原則として、離婚すると婚姻前の姓に戻りますが、婚姻中の姓を続けて名乗りたい場合は、離婚成立後3か月以内に役所に届けましょう。3か月経過すると、家庭裁判所で氏の変更許可の申立をして許可を得る必要が出てきますので手続が複雑になります。
離婚に関するご相談ならどのような相談でもお気軽にお問い合わせください。
<よくあるご相談>
依頼者にとって便利な場所に、ということで、交通便利な金山に事務所を設立しました。
老若男女問わず、愛知県全域の皆様から愛される事務所を目指しております。お子様連れの方やご年配の方も安心してご来所ください。