会社を経営しておられる方は、一般に所得の多い方が多く、財産分与や養育費の請求が高額となりがちです。
また、不動産、効果な宝飾品、株式等などは、金銭のように単純に2等分するのが難しいため、複雑な駆け引きが必要となる場合があります。
また、配偶者が会社の株式を保有したまま離婚すると、いざ、会社の方針決定をする際に、離婚した妻の協力が必要となる場合も出てくるため、離婚時に株式の譲渡を受けた方が良いかもしれません。
このように、経営者の離婚は、複雑な問題が生じやすいため、弁護士が介入する必要性が高いでしょう。
財産分与について、通常、2分の1ルールと言って、夫婦の共有財産を2等分に分けられるのが一般的です。
しかし、個人の特殊な能力や努力によって多額の資産が形成されたような場合には、2分の1ルールが適用されないケースもあります。
そもそも、財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力しあって形成した財産を、離婚に際して半分に分けましょう、という制度ですから、寄与度が低いケースでは、2分の1以下になることもあり得るということです。
一部上場会社の代表取締役が離婚した場合で、共有物財産の価格合計約220億円の5%である10億円とした事例があります。
資産形成の大部分が夫の手腕によるものであり、他方、妻は専業主婦であり、資産形成に対する貢献度が低いと判断された判例です。
(東京地方裁判所判決/平成13年(タ)第304号、平成13年(タ)第668号)
妻が15年以上に亘り営業努力をしてプロパンガス事業を発展させた一方で、夫は、飲酒して妻子に暴力を振るうなどして資産形成に対する寄与が少なかったケースで、妻に7割の財産分与を認めた判例です。
(松山地方裁判所西条支部判決/昭和42年(タ)第11号)
経営者が配偶者を会社の従業員として雇用しているケースは多く見られます。
そのような場合、離婚するときに、配偶者を解雇することができるのでしょうか。
離婚という夫婦間の問題と解雇という雇用関係の問題は、全く別個です。したがって、離婚したからといって直ちに配偶者を解雇することはできません。
従業員を解雇するには、客観的・合理的な解雇事由があり、かつ、社会通念上相当と認められるような場合でないと無効となります。離婚により、勤務態度が多少悪くなったというだけでは、解雇は認められません。
もっとも、離婚の理由が会社内の不倫問題のような場合は、解雇を有効とする判断もあり得ます。
自ら経営している会社の株式についても、財産分与の対象となります。
非上場会社の場合、株式の価格を算定するためには税理士等の専門家の協力が必要です。また、譲渡しようにも、譲渡制限がかかっている場合も多いですので、取締役会の承認が必要になることもあります。
さらに、株主は会社の実質的経営者でもありますので、例えば、夫が経営者として株式の大部分を所有し、妻も一部を所有しているという場合、離婚してからも、妻に議決権が残ると不都合ですから、夫が株式を買い取るという形を取ることもあります。
また、家族経営のような場合、個人と会社の財産が混ざってしまい、区別することが難しいこともあります。このような場合、会社の財産は、財産分与の対象にはなりませんが、実質的に個人の財産といえるような場合は、財産分与の対象となることもあります。
このように、経営者の離婚には、夫婦間の問題にとどまらず、会社経営に関わる判断が求められることもありますので注意が必要です。
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