離婚には、①協議離婚、②調停離婚、③裁判離婚という3種類があります。統計上、①が90%くらい、②が8~9%くらい、③が1%くらいとされています。つまり、離婚するほど夫婦仲が悪くなっても、ほとんどの人は、協議で解決をするということです。もちろん、この中には、養育費や財産分与などの協議ができず、とりあえず離婚だけしたという夫婦もいますので、協議離婚だから円満に別れたと言うことはできません。
弁護士に依頼されるような方は、すでに紛争化している案件が多いので、調停からスタートすることが多いです。協議からスタートしても、すぐに調停に移行するケースもあります。①②③のどこからスタートするかについては、基本的には依頼者の希望を尊重しますが、ご希望と異なる場合でも、事案の解決にふさわしい方法があれば提案させていただいています。
もっとも、調停を経ずにいきなり裁判を始めることはできません。これを、調停前置主義と言います。離婚のような私事性の高い事柄については、できるだけ当事者の意思を尊重した柔軟な解決がふさわしいからという理由によります。調停を経て裁判になった場合でも、もう一度、調停に戻されることもあります。裁判だと、裁判官が証拠に基づいて中立の立場から判決を言い渡してしまいますが、調停は、当事者間で柔軟に話合いをすることができるのです。
ただ、依頼者の中には、できるだけ調停を避けて欲しいという要望の方もいます。できるだけ大ごとにしたくないから、という理由のようです。
たしかに、一般市民の感覚からすると、裁判所で話し合うということに抵抗があるのかもしれません。なんだか大げさな印象を受けますよね。しかし、実際には、協議の方が楽かというとそうでもありません。協議ですと、弁護士が直接、相手方と会って話をする以外にも、メール、電話、書面の郵送など、様々な交渉方法があり、柔軟に解決できそうにもみえますが、逆に言うと、明確なルールがないため、円滑に協議が進まないこともあります。相手方にも弁護士の代理人が就任しているケースですと、互いに慣れていますので進めやすいですが、弁護士がついていない場合、素人を相手に交渉することになりますので、争点から外れた議論をすることになったり、意味のない抵抗をされたりするなど、解決まで遠回りしなくてはならないことも多いです。
これに対し、調停は、裁判所での話合いですので、裁判所の監督下で、一定のルールに乗っ取って協議が進むことになります。時に、間怠っこしく感じることもあるかもしれませんが、調停委員が仲介しながら、進行必要な争点に絞って協議が進められますので、概ね、1歩1歩着実に進んでいくといえます。
また、コロナ禍でリモートワークが受け入れるようになって以来、裁判所でも、電話会議、ウェブ会議方式で調停を実施することが増えてきています。これまでは、わざわざ裁判所に出かけていって、紛争相手が近くにいるかもしれない環境下で協議しなければならなかったのですが、そのような不安は解消されつつあります。電話会議、ウェブ会議ですと、当事務所の相談室に待機して、画面上あるいは音声により調停が進行していきます。当事者の方の心理的負担も少ないので依頼者からの評判もよいです。
このように、協議や調停には、それぞれ特徴があり、事案によって、いずれを選択するか迷うケースもあります。弁護士は、依頼者の希望も聞きながら、依頼者にとってベストの方法を提案致します。裁判所で調停をやるなんて、なんだか怖いな、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、むしろ調停の方が円満な解決に繋がることもあります。ご不安な点がありましたら、納得いくまで弁護士に尋ねるなどして、調停という解決方法についても検討されてはいかがでしょうか。
2023年4月18日
離婚に関するご相談ならどのような相談でもお気軽にお問い合わせください。
<よくあるご相談>
依頼者にとって便利な場所に、ということで、交通便利な金山に事務所を設立しました。
老若男女問わず、愛知県全域の皆様から愛される事務所を目指しております。お子様連れの方やご年配の方も安心してご来所ください。