はじめに
裁判所の手続のデジタル化が進むなかで、家庭裁判所の調停手続でも、ウェブ会議(オンライン)を利用した方式が広く用いられるようになりました。当事務所でも、ご依頼をお受けする調停のほとんどで、このウェブ会議方式を利用しています。本コラムでは、ウェブ会議方式の離婚調停について、その仕組みやメリット、手続の大まかな流れをご紹介します。
家庭裁判所でも広がるウェブ会議方式
ウェブ会議を利用した調停は、令和3年12月に、東京・大阪・名古屋・福岡の各家庭裁判所で試行的に始まりました。その後、順次、実施する裁判所が広がり、令和6年7月までには、支部や出張所を含む全国の家庭裁判所で運用されるようになりました。利用件数も年々増加を続けており、離婚調停をはじめとする多くの事件で、ごく一般的な方式として定着しつつあります。
ウェブ会議方式の調停とは
ウェブ会議方式の調停とは、裁判所に足を運ぶ代わりに、弁護士事務所などから、パソコンやタブレットの画面越しに調停委員とやり取りを行う方式です。現在のところ、Cisco Webex(シスコ・ウェベックス)というアプリケーションが用いられています。
期日の当日は、あらかじめ届いた案内に記載されたリンクをクリックするだけで、簡単に参加することができます。特別な機器は必要なく、インターネットに接続できる環境と、静かに落ち着いてお話しできる場所があれば、利用できます。
従来の調停の進め方は変わりません
ウェブ会議方式であっても、調停の進め方そのものは、これまでの調停と基本的に変わりません。調停委員が当事者双方の間に入り、一方ずつ交互にお話をうかがいながら、話し合いによる解決を目指していきます。相手方と直接顔を合わせることなく手続が進む点も、従来どおりです。
画面越しであっても、調停委員に対してご自身のお気持ちやご事情を丁寧にお伝えいただくことは十分に可能です。
当事務所での取扱い
当事務所では、ご依頼をお受けした調停のほとんどで、このウェブ会議方式を利用しています。ご依頼者の負担をできるだけ軽くしながら、これまでと変わらない充実した手続を進めることを大切にしているためです。事務所にお越しいただき、弁護士と一緒に画面に向かって調停に参加していただくことができます。
ウェブ会議方式のメリット
ウェブ会議方式には、次のようなメリットがあります。
1. 裁判所への移動が不要になります
裁判所まで出向く必要がなくなり、移動の時間や労力がかからなくなることです。裁判所が遠方にある場合はもちろん、お仕事や育児・介護などで長時間の外出が難しい方にとっても、調停に参加するハードルが大きく下がります。
2. 待ち時間を有効に使えます
調停は、開始時刻は指定されますが、終了時刻はその日の話し合いの進み具合によって前後します。従来は、裁判所の待合室で30分から1時間ほど待つこともありました。待合室は、他の調停参加者もいますので、プライベートな話がしづらいというデメリットがありました。この点、ウェブ会議方式であれば、空いた時間に、当事務所の相談室で弁護士と打合せをしたり、リラックスして休憩やお仕事などに充てることができます。
3. 相手方と顔を合わせずに済みます
ウェブ会議方式では、同じ建物のなかで相手方と居合わせる心配がありません。廊下や待合室で偶然顔を合わせてしまう、といったことも避けられます。特に、DVなどの事情がある事案では、相手方と物理的に接することなく、安心して手続に臨めるという点で、大きな意味があります。
4. 遠方の裁判所にも参加しやすくなります
離婚調停は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所で行われます。そのため、ご自身から見ると遠方の裁判所が手続の舞台になることも少なくありません。ウェブ会議方式であれば、そうした場合でも、遠方まで足を運ぶことなく参加することができます。
5. 日程の調整がしやすくなります
移動の時間を考える必要がなくなったことで、期日の日程を柔軟に調整しやすくなりました。これは、ご依頼者にとってはもちろん、複数の事件を担当する弁護士にとっても、スムーズな進行につながるメリットです。
離婚調停もウェブ会議で成立できるように
かつては、離婚そのものを成立させる調停期日には、当事者ご本人が裁判所に出頭する必要がありました。しかし、令和4年の民事訴訟法等の改正により、ウェブ会議方式でも離婚調停を成立させることができるようになりました。これにより、事案によっては、最初から最後まで一度も裁判所に出向くことなく、離婚を成立させることも可能になっています。
ウェブ会議方式の調停の大まかな流れ
実際にウェブ会議方式を利用する場合、手続はおおむね次のように進みます。まず、調停の申立ての際、または裁判所からの連絡の際に、ウェブ会議の利用を希望する旨をお伝えします。その後、裁判所(担当の書記官)から、連絡先やWebexのリンクが、FAXやメールで案内されます。そして期日の当日は、案内されたリンクから参加します。
参加される場所については、会話の内容が第三者に聞かれたり、当事者以外の方が同席したりすることのないよう、静かで落ち着いた環境をご用意いただく必要があります。当事務所にお越しいただければ、そうした環境を整えたうえで、弁護士とご一緒に参加することもできます。
おわりに
ウェブ会議方式の導入により、離婚調停の手続はずいぶん便利になりました。裁判所まで出向く負担が減り、安心して手続に臨みやすくなったことは、離婚をめぐる話し合いに臨むご依頼者にとって、大きな支えになるものと考えています。
当事務所では、こうした方式も活用しながら、ご依頼者にとって負担が少なく、納得のいく解決を目指してまいります。離婚調停をお考えの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
2026年8月26日