配偶者が性交渉を拒否したことが、民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたると主張されることがあります。
しかし、不仲になった夫婦間では、むしろ性交渉をしないことの方がむしろ一般的ですので、性交渉を求めたが拒否されたという一事をもって、直ちに「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるということはできません。
すくなくとも、その性交拒否が「継続的」なものでなければならず、また、性交拒否に至る経緯や理由も重要です。
性交拒否により離婚が認められた事例をいくつかご紹介します。
岡山地津山支判平成3年3月29日
本事例は、妻が結婚初夜から夫との性交渉を拒否し続けたことにより、夫婦の融和を欠き破綻に至ったと判断されました。
妻は、男性との性交渉に耐えられない性質であったとされていますが、夫が性交渉を求めるたびに、暴言、雑言を発し、時折暴力を振るったとも認定されており、継続的に性交渉を拒否したことあいまって、婚姻関係を破綻させたと判断されました。
福岡高判平成5年3月18日
本事例は、夫が妻との性交渉を拒否し、ポルノビデオを見ながら自慰行為に耽る一方、妻との性交渉を拒否した点を考慮し、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるとされました。
妻が性交渉がないことに不満を述べた際、夫が「女は子宮でしか物を考えられないのか」などと、妻の人格を否定するような発言をしたことや、性交拒否について改善する約束をしたにもかかわらず改めることがなかったことなども考慮されています。
夫婦の性生活は婚姻の基本となるべき重要事項であるとの考え方を前提とすると、性交渉の拒否は、「婚姻を継続し難い重大な事由」を基礎づける事情の一つになり得ます。もっとも、性交渉拒否の理由が、心身の疾患や老齢などの理由によるものである場合や、一過性のものである場合は、直ちに離婚事由にあたるわけではありません。
令和元年6月3日(月)
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