離婚の種類には、
1 協議離婚
2 調停離婚
3 裁判離婚
の3種類があります。まれに、調停に代わる審判、という手続きもありますが、基本的には、1から3の順に進んでいくことになります。
年間50万組から60万組くらいの離婚件数となっていますが、このうち9割程度が協議離婚、つまり、話合いによる離婚です。双方が離婚届に署名し、役所に届出るという一般的な離婚です。
そして、2人での話合いによる離婚が困難なとき、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。離婚全体の8~9%程度です。
調停は、家庭裁判所で行われますが、「話合い」であることに変わりはありません。裁判所が関与しますが、裁判官が何かを判断したり決めてくれるわけではありません。
家庭裁判所で話合いをした結果、離婚が成立する場合は、裁判所で作成される調書に、離婚が成立した事実や、親権、財産分与等に関する取り決めが定められます。
調停での話合いが不調に終わった場合は、訴訟に駒を進めるしかありません。訴訟による離婚は全体の1%程度であり、裁判官が離婚の可否を決定します。
今回は、3種類の離婚のうち、調停離婚についてお話します。
調停は、裁判官1名と調停委員2名で組織される調停委員会により進行されます。家庭裁判所で、1、2ヶ月に1回くらいの頻度で実施されます。
調停が始まると、四角いテーブルのある小部屋に、一人ずつ案内されます。部屋には、調停委員(男女1名づつ)が席についており、配偶者と交互に部屋に入って、話を聞いてもらうことになります。おおよそ30程度話をしたら、他方配偶者と交替し、これを2、3回繰り返します。基本的に相手方配偶者と顔を合わせることはありません。
このように、調停は、2人では話合いがうまくいかなかったものが、調停委員という第三者が介入して調整することで、話合いがうまくいくようにサポートするものです。
しかし、仲の悪い2人の話をまとめていくわけですから、調整がうまくいかないこともよくあります。当事者は、離婚協議に精神的に疲弊し、相手方に対し強い猜疑心を持っていることも多いので、そんな2人の主張をくみ取って話をまとめ上げていくのは、相当高度なファシリテイト能力が必要となります。
では、そもそも、調停委員とは、どのような人が担当しているのでしょうか。
調停委員は、最高裁判所によって、非常勤の公務員として任命された民間人です。社会生活の上で豊富な知識経験を有し、人格見識の高い者とされているようです。数は少ないですが、弁護士が担当していることもあります。
とはいえ、これは私見ですが、離婚事件処理にあたり専門的知識を有している調停委員に出会うことは希です。ほとんどの場合、言葉は悪いですが、「ど素人」にしか見えません。研修のようなものが実施されているようですが、専門的なトレーニングを受けているわけではなく、付け焼き刃のようなものでしかありません。
本来であれば、調停委員を国家資格などにして、より専門的な知識経験を有する者を担当させるべきですが、今のところ、制度改革がなされる気配もありません。そのため、離婚の紛争当事者となった場合、弁護士を代理人として委任して自己防衛するしかありません。
このように言うと、弁護士に依頼するようにセールスしているように聞こえるかもしれませんが、調停の現場は、本当に目を覆いたくなるくらいの状況なのです。
弁護士以外の調停委員が担当する調停は、押しの強い当事者の主張に引っ張られてしまったり、何となく可愛そうな当事者に同情してしまったり、偏った進行となることもあります。また、誤った法的知識に固執していたり、不用意な発現をして弱り切った当事者をさらに傷つけてしまうこともあります。
もっと酷いケースですと、提出した書面を読んでいない、当事者の名前を間違える、他の事案と混同している、秘密にしてほしいと断った上で話をしたのに漏らしてしまった、ということもあります。
弁護士の代理人がついている場合は、抗議したり、進行について意見を言ったりすることができますが、弁護士がついていない場合(本人調停などと呼ばれています)では、当事者にとっては、ほとんどの人が初めての調停ですので、抗議することができず、逆に、調停委員の言っていることが正しいかのように錯覚してしまったり、自分が不利に扱われているのに何が起きているのかわからないまま過ぎてしまうこともあるでしょう。調停委員が何らかの権力を持っているものと誤解して、調停委員に怒られないように気を遣っている人もいるようです。調停委員の印象が悪くならないように、などと、言う人もいますが、調停委員の印象など、紛争解決に何の関係もありません。
それよりも、調停委員の誤りを適確に指摘し、調停を公正に進めていくことが必要なのです。それができるのは弁護士以外にありません。
このように、現在の家事調停は、極めて貧弱な人的資源により運営されており、欠陥のある制度といえます。しかし、離婚の当事者にとっては、制度改革よりも、目の前の制度をうまく利用して、自分の権利を守ることが必要です。
調停の進め方に不安を感じておられる方は、お気軽に当事務所にご相談ください。
2022年8月20日
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