監護者指定の判断基準についてお話しします。
監護権は、親権の一部なので、親権の判断基準とほぼ同じと考えても良いです。
親権について詳しくはコチラ
おおよそ次の点がポイントになります。
1 監護の継続性の原則
子どもと親との心理的な結びつきや生活環境の安定を尊重し、できるだけ同じ監護状態が継続できるようにという配慮から、監護の継続性が重視されます。
監護者との継続性の問題と監護環境の継続性の問題を区別して考える必要があります。
例えば、赤ん坊のように小さな頃は母親との結びつきが強いといえます。小学生位になると学校や友人関係など、監護をされている環境を継続すると言う点が重視されます。
また、普段子どもを監護していない側が、強引に子どもを連れ去って監護を開始したような場合には、監護の継続性を慎重に判断する必要があります。
2 主たる監護者
夫婦間が紛争になる前、子どもの監護に主に関わっていた者に引き続き監護をさせた方が良いとする考え方です。
監護をしている時間や質的なものを比較し慎重に判断していきますが、両親が共稼ぎで育児を半々で担っていたような場合は、判断が難しくなります。
判断要素がいろいろある中で、主たる監護者であるかどうかは、監護者を指定する上で大きな要素となります。
3 乳幼児期における母親優先の原則
2,3歳位までは母子の関係が子の心理発達にとって重要であると考えられています。そのため、乳幼児期においては、母親が優先される傾向があります。もっとも、近年、家庭における父母の役割が変化してきており、必ずしもこの原則に拘束されるものではないと言う考え方もあります。
一般的に、親権は母親の方が有利であると思っておられる方が多いですが、必ずしもそうではありません。ただ、乳幼児期においては、母親が有利となる傾向があるのも事実です。
4 子の意思の尊重
15歳以上の子については子どもの陳述を聞かなければならないと言う規定があります。15歳未満であっても子どもの意思は尊重されますが、親の影響を強く受けていたり、子どもが未成熟であるため、必ずしもその意見を鵜呑みにすべきではありません。
5 きょうだい不分離
きょうだいは一緒に生活することによって豊かな人格形成に資するとされています。もっとも、きょうだい同士の関係や、子どもの希望、親との関係によっては、必ずしも同じ親のもとで監護することが適当であるとは言えません。
6 監護開始の違法性
違法な連れ去りにより子どもと同居を開始したような場合、監護者としての適格性に問題があると判断されることがあります。
子どもを連れ去った上で監護実績を積み重ねても、評価されないことがあると言うことです。
7 面会交流を実施しているか
面会交流をして非監護親との交流を図った方が子どもの人格形成にプラスであると考えられています。そのためそれを妨げようとする親は適格性がないと判断される可能性があります。これをフレンドリーペアレントルールといいます。
このように、監護者は、様々な視点から判断されます。母親だから有利であるとか、連れ添ったもの勝ちと言う単純なものではありません。
子どもの監護方法について配偶者と揉めている場合、弁護士に相談されることをお勧めいたします。
2022年9月16日
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