金の切れ目は縁の切れ目という言葉があるように、破産するような人とは一緒にいられないということで、夫婦関係が悪化し離婚に至るケースがあります。
夫や妻が自己破産してしまったような場合、離婚手続きにどのような影響があるのでしょうか。
自己破産とは、借金が膨れあがり返済することができなくなってしまった場合に、一定の条件を満たせば借金の支払いが免責されるという制度です。
離婚をする際、財産分与、慰謝料、養育費について取り決めをしますが、自己破産をするとこれらの取り決めに影響を与える場合があります。
自己破産が認められると債務が免責されるので、せっかく財産分与や慰謝料の取り決めをしたとしても、支払いを受けないうちに支払義務者が破産してしまうと、支払いを受けられなくなります。
もっとも、慰謝料については、その発生原因が「悪意で加えた不法行為」や「故意・重過失によって生命、身体に加えた不法行為」にあたる場合、免責されないことがあります。この場合の「悪意」とは、単なる加害意思ではなく、相手方を積極的に傷つけてやろうというような積極的な加害意思が必要とされています。不倫の場合だと、恋愛の延長の不倫ではなく、配偶者に精神的苦痛を与えるため意図的に不貞行為をしたような場合ですと悪意と認定される可能性があります。
故意、重過失によって生命、身体に加えた不法行為とは、例えば、苛烈な暴力により配偶者に大けがをさせたような場合や、継続的なDVのような場合です。
このような場合は、破産をしても免責されません。
他方で、養育費については、破産者の経済的再起更生よりも、子の生活の方が優先されるため、免責されません。
また、財産分与は、原則として、夫婦が共同で築き上げた財産を2分の1に分割するものですが、破産者から不相当に過大な財産が分与された場合、財産分与が取り消される可能性があります。これは、財産分与の名を借りた不当な財産流出であるとみなされ、他の債権者との関係で不公平となるからです。不相当な財産分与を受けた配偶者は、破産管財人から、不相当な部分について、支払いを求められるかもしれません。
慰謝料についても、同様に、不相当に過大な慰謝料の支払いについては、偏頗弁済として取り消される可能性があります。
このように破産前の財産の移動については、破産申立後に問題になる可能性がありますので、弁護士に十分に相談してから行った方がよいです。
2022年11月30日
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