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弁護士によるコラム114

基準日前に預貯金を引き出したらどうなる?

   離婚に伴う財産分与は、夫婦が共同で築いた財産を公平に清算する手続きです。その際、いつの時点の財産を分与の対象とするか、という「基準日」が重要な意味を持ちます。一般的には、別居時がこの基準日とされます。

   この基準日をめぐってよく問題となるのが、別居直前に預貯金が多額に引き出されていたというケースです。この記事では、財産分与の基準日前後に預貯金を引き出した場合、それが分与額の算定にどのような影響を与えるのか、法的な観点から解説します。

   財産分与は、基準日(原則として別居時)に現存する夫婦共有財産を清算するものです。そのため、基準日より前に、ご自身の名義の預貯金からお金を引き出していたとしても、財産分与の対象となるのはあくまで基準日時点の残高です。引き出しの事実自体が、分与額に影響を及ぼすことはありません。

   しかし、この原則には例外があります。
   それは、基準日の直前に多額の金員を払い戻しており、その使途について合理的な説明ができない場合です。このようなケースでは、裁判所は「引き出されたお金が、基準日時点でも現金などの形で手元に残っている」と推認することがあります。その結果、引き出し額に相当する財産が、財産分与の対象として算定される可能性があります。

   では、具体的にどの程度の払い戻しが問題となるのでしょうか。
   基準日から遡って半年程度以内、長くても1年以内の払い戻しが対象となります。それよりも前に引き出されたお金は、基準時まで費消されずに残っていると推測することは難しいとされています。

   また、一般的な家庭を前提とすると、少額ではなくある程度まとまった金額100万円程度以上の払い戻しがこれに該当し得ると考えられます。

   基準日後に自己名義の預貯金を払い戻した場合、これも原則として分与額の算定に影響を与えません。財産分与は基準日の財産状態を清算するものであり、基準日後の財産変動は基本的に考慮しないのが現在の実務です。

   ここまでは自己名義の預貯金について見てきましたが、相手方名義の預貯金を引き出した場合はどうなるのでしょうか。
   
基準日前に相手方名義の預貯金を引き出した場合、これは原則として財産分与の額に影響しません。相手の承諾がない払い戻しの場合、それは財産分与とは別の法律関係(不当利得返還請求など)として扱われるべき問題だからです。ただし、自己名義の払い戻しと同様、基準日直前に多額の払い戻しがあり、使途不明な場合は、財産分与の対象となる可能性があります。

   基準日後に、相手方名義の預貯金を払い戻した場合は、「財産分与の先行取得」として扱われます。これは、財産分与によって得られるはずの財産を、先に取得してしまったとみなされることを意味します。
   具体的には、引き出した金額が、最終的に決まる分与額から加減算されます。
   
財産分与を受ける側(権利者)が、相手名義の預貯金を引き出した場合、引き出し額が分与額から控除されます。
   
財産分与を支払う側(義務者)が、相手名義の預貯金を引き出した場合、引き出し額が分与額に加算されます。

   財産分与を考える上で、預貯金の取り扱いは非常にデリケートな問題です。特に、離婚を念頭に基準日前に多額の預貯金を引き出す行為は、後々の手続きでトラブルの原因となりかねません。

   まとめると、次のようになります。
   
基準日前: 基準日直前に多額の引き出しがあり、使途が証明できない場合、その金額は財産分与の対象となる可能性があります。

   基準日後: 相手名義の預貯金を引き出すと「先行取得」として、最終的な分与額に影響する可能性があります。

   安易な預貯金の引き出しは、公平な財産分与を妨げ、不要な紛争を引き起こす可能性があります。財産分与をスムーズに進めるためには、弁護士と相談しながら、適切な手続きを踏むことが重要です。個別の状況に応じた最適な解決策を見つけるためにも、専門家にご相談されることをお勧めします。

    2025年9月16日 

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