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弁護士によるコラム116

財産開示を拒否されたらどうするか?

はじめに
   離婚に伴う財産分与は、夫婦が共同で築いた財産を公平に分配するための重要な手続きです。しかし、相手方が財産の開示を拒んだり、財産を隠している疑いがある場合、適正な財産分与の実現は困難になります。このような問題に直面した場合、どのように対応すればよいのでしょうか。本コラムでは、財産開示の拒否・隠匿が疑われるケースにおける対応策について、法的観点から解説します。

1. 財産開示の拒否・隠匿とは
   
財産分与の審理では、裁判所は双方の当事者に対し、基準日(原則として別居時)に有していた財産の開示を求めます。しかし、様々な理由をつけて開示を拒むことがあります。例えば、「財産分与の審理はまだ不要だ」と主張したり、「財産の存在は権利者が証明すべきだ」と主張したりするケースです。しかし、これらの主張は、いずれも財産開示の拒否を正当化するものではありません 。
   また、財産開示を拒むだけでなく、意図的に財産を隠匿しているケースも考えられます。こうした財産開示の拒否や隠匿は、裁判所から極めて不誠実な訴訟態度と見なされます 。

2. 財産開示の拒否・隠匿に対する対応策
(1) 調査嘱託の申立て
   
相手方が財産を開示しない場合、最も有効な手段の一つが調査嘱託の申立てです。これは、裁判所を通じて、金融機関や証券会社などの団体に対し、相手方の財産状況について照会を求める手続きです 。

 ① 申立ての要件
   
調査嘱託の申立てが認められるためには、嘱託先に相手方名義の財産が存在する蓋然性を疎明(証明するほどではないが、一応の根拠を示すこと)する必要があります。単なる「探索的な申立て」(当てずっぽうの申立て)は却下されます 。

 ② 疎明資料の例
   
疎明資料としては、以下のようなものが考えられます 。
・金融機関から送付されてきた書類
・相手方の旧住所が記載された戸籍附票(旧住所の近隣支店に口座がある可能性があるため)
・証券会社から送られてくる取引報告書など
・保険会社からの送られてくる控除証明書、契約を裏付ける書類
・勤務先の給与明細書(財形貯蓄や団体保険の保険料が天引きがされている可能性があります)

 ③ 預貯金についての注意点
   預貯金に関する調査嘱託では、金融機関と支店を特定し、その支店に口座がある蓋然性を具体的に疎明する必要があります 。原則として、調査が認められるのは「基準日現在の残高のみ」です 。ただし、財産隠しが疑われる具体的な事情(例えば、別居直前の多額の払い戻しなど)が疎明された場合は、取引履歴の調査が認められることもあります 。取引履歴から、意図的な財産隠しが明らかになったり、資産の流出先を突き止めることができることもあります。

 (2)情報開示命令
   
20245月の法改正により、家事事件手続法152条の2が新設され、財産分与に関する情報開示命令の制度が導入されました。
   
家庭裁判所は、財産分与に関する処分の審判事件において必要があると認めるとき、申立てまたは職権で当事者に対し、その財産の状況に関する情報を開示することを命じることができます(改正家事事件手続法152条の22項)。
   
情報開示命令を受けた当事者が、正当な理由なく情報を開示しない場合や虚偽の情報を開示した場合、家庭裁判所は10万円以下の過料に処することができます(同第3項)。
   
開示対象となる財産は、当事者が婚姻中に取得または維持した財産が中心ですが、離婚後扶養に関しては特有財産や婚姻前に取得した財産が原資となる場合も開示対象となると考えられます。
   
この情報開示命令の新設は、夫婦の一方が財産を隠匿したり、他方が財産の状況を把握できない場合に、適正な財産分与を実現するための制度的対応です。

(3) 弁論の全趣旨としてのしんしゃく
   
弁論の全趣旨としてのしんしゃくとは、裁判所が当事者の不誠実な訴訟態度そのものを考慮し、心証を形成する判断手法の一つです。これは、特定の証拠がない場合でも、当事者の態度から事実を認定することを可能にします。
   
相手方が財産開示を拒んだり、調査嘱託を妨害したりするなど、不誠実な訴訟態度をとる場合、裁判所は、その態度自体を考慮し、反対当事者(財産分与を求める側)が主張する財産額が存在すると判断することがあります 。

 3. まとめ
   
離婚事件において、相手方が財産開示を拒否・隠匿している場合、放置すると適正な財産分与が実現できません。しかし、上記のように、裁判所への調査嘱託の申立てや、相手方の不誠実な態度を主張することで、財産の開示を促したり、財産額の認定に影響を与えたりすることが可能です。
   
財産分与は、離婚後の生活を左右する重要な問題です。財産開示でトラブルが生じた場合は、専門家である弁護士にご相談ください。適切な手続きを通じて、あなたの権利を守るためのサポートをいたします。

  2025912

  

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