離婚調停はオンラインでできる?
ウェブ会議の流れとメリットを弁護士が解説
離婚調停は、裁判所に足を運ばなくても、ウェブ会議(オンライン)を利用して進めることができます。当事務所でも、ご依頼をお受けする離婚調停のほとんどで、このウェブ会議方式を利用しています。本コラムでは、ウェブ会議方式の離婚調停について、現在の運用状況や参加方法、電話会議との違い、そして調停の成立までウェブ会議で完結できるようになった制度改正について、弁護士がご説明します。
家庭裁判所の調停手続にウェブ会議を利用する取組みは、令和3年12月、東京・大阪・名古屋・福岡の各家庭裁判所で試行的に始まりました。その後、実施する裁判所が順次広がり、令和6年ごろには、支部や出張所を含む全国の家庭裁判所で利用できるようになっています。名古屋家庭裁判所は、この取組みが始まった当初からウェブ会議方式を導入している裁判所の一つです。利用件数も年々増加しており、離婚調停をはじめとする多くの事件で、一般的な方式として定着しつつあります。
ウェブ会議方式の調停とは、裁判所に出向く代わりに、パソコンやスマートフォン、タブレットの画面越しに調停委員とやり取りを行う方式です。現在、裁判所ではCisco Webex(シスコ・ウェベックス)というアプリケーションが用いられており、期日の当日は、事前に届いた案内のリンクをクリックするだけで参加できます。特別な機器は必要なく、インターネットに接続できる環境があれば利用できます。
調停の進め方そのものは、ウェブ会議方式であっても、対面方式と基本的に変わりません。調停委員が当事者双方の間に入り、一方ずつ交互に話を聞きながら、話し合いによる解決を目指していく点も同じです。相手方と直接顔を合わせることなく手続が進む点も、従来どおりです。調停手続そのものの流れについては、調停手続きの基本的な流れでも詳しく解説しています。
裁判所の手続には、ウェブ会議のほかに、音声のみでやり取りする電話会議の方法もあります。通常の話し合いの期日については電話会議を利用することもできますが、後で説明する調停の成立(合意を確定させること)については、電話会議の方法によることはできません。離婚・離縁の調停を成立させるには、映像を伴うウェブ会議の方法によることが必要です。
ウェブ会議の利用は、希望すれば当然に認められるものではありません。相手方と同じ空間にいると安心して話をすることができない、遠方に住んでいて裁判所まで出向くことが困難であるなど、家庭裁判所が相当と認める場合に、当事者の意見を聴いたうえで利用が認められる取扱いとなっています。ウェブ会議の利用を希望される場合は、調停の申立て時、または担当の書記官に、その旨をお伝えください。
これまで、離婚(または離縁)そのものを成立させる調停期日には、当事者ご本人が裁判所に出頭する必要があるとされてきました。令和4年に成立した法改正により、ウェブ会議の方法で離婚・離縁の調停を成立させることができる制度が新たに設けられ、それ以降は、事案によっては、最初から最後まで一度も裁判所に出向くことなく、ウェブ会議のみで離婚を成立させることも可能になっています。
ウェブ会議方式には、次のようなメリットがあります。
最も大きなメリットは、裁判所まで出向く必要がなくなり、移動の時間や労力がかからなくなることです。裁判所が遠方にある場合はもちろん、お仕事や育児・介護などで長時間の外出が難しい方にとっても、調停に参加するハードルが大きく下がります。
調停は、開始時刻は指定されますが、終了時刻はその日の話し合いの進み具合によって前後します。従来は、裁判所の待合室で30分から1時間ほど待つこともあり、他の調停参加者もいる待合室ではプライベートな話がしづらいという難点もありました。ウェブ会議方式であれば、空いた時間に、当事務所の相談室で弁護士と打合せをしたり、リラックスして休憩やお仕事に充てたりすることができます。
ウェブ会議方式では、同じ建物のなかで相手方と居合わせる心配がありません。廊下や待合室で偶然顔を合わせてしまう、といったことも避けられます。特に、DVなどの事情がある事案では、相手方と物理的に接することなく、安心して手続に臨めるという点で、大きな意味があります。
離婚調停は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所で行われます。そのため、ご自身から見ると遠方の裁判所が手続の舞台になることも少なくありません。ウェブ会議方式であれば、そうした場合でも、遠方まで足を運ぶことなく参加することができます。
移動の時間を考える必要がなくなったことで、期日の日程を柔軟に調整しやすくなりました。ご依頼者にとってはもちろん、複数の事件を担当する弁護士にとっても、スムーズな進行につながるメリットです。
当事務所にお越しいただければ、プライバシーに配慮した環境で、弁護士と一緒に画面に向かって調停に参加していただくこともできます。ご依頼をお受けした調停のほとんどで、ご依頼者には当事務所の相談室からウェブ会議方式をご利用いただいています。
実際にウェブ会議方式を利用する場合、手続はおおむね次のように進みます。まず、調停の申立ての際、または裁判所からの連絡の際に、ウェブ会議の利用を希望する旨を伝えします。その後、裁判所(担当の書記官)から、接続先やWebexのリンクが、FAXやメールで案内されます。そして期日の当日は、案内されたリンクから参加します。なお、調停による離婚手続全体の流れについては、調停離婚のページもご参照ください。
ウェブ会議方式は多くの事案で便利ですが、すべての場合に最適というわけではありません。たとえば、当事者の感情面への配慮が特に必要な事案などでは、対面での調停が望ましい場合もあります。当事務所では、事案の内容や見通しを踏まえ、どちらの方式がご依頼者にとってより良いかを、一緒に考えながら進めてまいります。なお、話し合いによる解決が難しく、相手方が協議や調停に応じてくれない場合の対応については、配偶者が協議や調停に応じない場合どうすればよいか?で解説しています。
はい。現在は、支部や出張所を含め、全国の家庭裁判所でウェブ会議方式を利用できるようになっています。離婚調停は原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所で行われますが、遠方の裁判所が管轄になる場合でも、ウェブ会議方式であれば出向く負担を軽くすることができます。
ウェブ会議方式の導入により、離婚調停の手続はずいぶん便利になりました。裁判所まで出向く負担が減り、令和7年3月からは調停の成立までウェブ会議で完結できるようになったことは、離婚をめぐる話し合いに臨むご依頼者にとって、大きな支えになるものと考えています。もっとも、ウェブ会議方式の利用には裁判所の判断が必要であり、事案によっては対面方式が適している場合もあります。離婚調停をお考えの方、弁護士に相談するタイミングに迷っている方は、離婚について弁護士に相談するタイミングもご参照のうえ、どうぞお気軽に当事務所へご相談ください。
2026年9月18日
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